2009年4月9日木曜日

向こう岸


 春の夜に溶けてゆく花よ
 私はあなたを見たような気がしたけれど
 きっとそれは幻に違いない
 私はあなたに触れたような気がしたけれど
 きっとそれは夢の中に違いない
 いっさいの繋がりはなかったことになり
 しかしあなたはそこで輝き続ける
 それはなんて目映い光で私を照らすのだろう
 そして無力な私を明らかなものにするのだろう
 それが現在のあなたの意図なのかどうか
 私には確かめるすべがない
 ただここにある事実として受け止めることが
 私にとって最善のことだと分かっているけれど
 あまりにもそれは正しすぎて
 もうひとことだけ本当のことを
 聞くことはできないだろうかと考えてみる
 そうしてそれはあてどない旅で
 いつかあなたが行くはずだった場所に
 私も辿り着けるのだろうか
 春の夜に溶けてゆく花は
 何も答えない
 そしてただ風に揺れている

2009年3月25日水曜日


強い風は北風で
自転車を漕いでも漕いでも
会社に着かない朝
春だってそういうことがあるんだ

2009年1月26日月曜日

宇宙の色

空をスポイトで吸い取ったら
青いスポイトになった。
この色って、宇宙の色なのかな。
誰にも訊けないけれど
きっとそうなんだろうな、と思う。
ただ想うだけのことって、
本当は大切なことなのかもしれないって
時々思う。


2009年1月15日木曜日

くさかんむりに母と書いて苺。
もう、苺の季節なんだ。
スーパーの店頭から、春の匂いをすこし摘んで帰る。
いなかの町で暮らしていた頃、
畑で苺をよく摘んだ。
土は冷えないように黒いビニールで覆われていて、
赤い苺がまるで宝石のように垂れていた。
苺はとても特別なくだものだと思う。

2009年1月13日火曜日

ゆどうふ

ゆどうふ。
こんぶでだしをとって、絹ごしのとうふを
そおっと、すべりこませて、ゆっくりあたためる。
ぽこっ、ぽこっ、て音がする。
しずかな部屋に、ゆどうふのあたたまる音が響いて、
あぁゆどうふ、なんてゆどうふなんだろう。
ぼくはゆどうふでいっぱいになる。