skip to main |
skip to sidebar

春の夜に溶けてゆく花よ
私はあなたを見たような気がしたけれど
きっとそれは幻に違いない
私はあなたに触れたような気がしたけれど
きっとそれは夢の中に違いない
いっさいの繋がりはなかったことになり
しかしあなたはそこで輝き続ける
それはなんて目映い光で私を照らすのだろう
そして無力な私を明らかなものにするのだろう
それが現在のあなたの意図なのかどうか
私には確かめるすべがない
ただここにある事実として受け止めることが
私にとって最善のことだと分かっているけれど
あまりにもそれは正しすぎて
もうひとことだけ本当のことを
聞くことはできないだろうかと考えてみる
そうしてそれはあてどない旅で
いつかあなたが行くはずだった場所に
私も辿り着けるのだろうか
春の夜に溶けてゆく花は
何も答えない
そしてただ風に揺れている

強い風は北風で
自転車を漕いでも漕いでも
会社に着かない朝
春だってそういうことがあるんだ

空をスポイトで吸い取ったら
青いスポイトになった。
この色って、宇宙の色なのかな。
誰にも訊けないけれど
きっとそうなんだろうな、と思う。
ただ想うだけのことって、
本当は大切なことなのかもしれないって
時々思う。

くさかんむりに母と書いて苺。
もう、苺の季節なんだ。
スーパーの店頭から、春の匂いをすこし摘んで帰る。
いなかの町で暮らしていた頃、
畑で苺をよく摘んだ。
土は冷えないように黒いビニールで覆われていて、
赤い苺がまるで宝石のように垂れていた。
苺はとても特別なくだものだと思う。

ゆどうふ。
こんぶでだしをとって、絹ごしのとうふを
そおっと、すべりこませて、ゆっくりあたためる。
ぽこっ、ぽこっ、て音がする。
しずかな部屋に、ゆどうふのあたたまる音が響いて、
あぁゆどうふ、なんてゆどうふなんだろう。
ぼくはゆどうふでいっぱいになる。