2009年4月9日木曜日

向こう岸


 春の夜に溶けてゆく花よ
 私はあなたを見たような気がしたけれど
 きっとそれは幻に違いない
 私はあなたに触れたような気がしたけれど
 きっとそれは夢の中に違いない
 いっさいの繋がりはなかったことになり
 しかしあなたはそこで輝き続ける
 それはなんて目映い光で私を照らすのだろう
 そして無力な私を明らかなものにするのだろう
 それが現在のあなたの意図なのかどうか
 私には確かめるすべがない
 ただここにある事実として受け止めることが
 私にとって最善のことだと分かっているけれど
 あまりにもそれは正しすぎて
 もうひとことだけ本当のことを
 聞くことはできないだろうかと考えてみる
 そうしてそれはあてどない旅で
 いつかあなたが行くはずだった場所に
 私も辿り着けるのだろうか
 春の夜に溶けてゆく花は
 何も答えない
 そしてただ風に揺れている

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